もともとコーヒーはイスラム世界に発するもので、オスマン帝国(トルコ)の首都イスタンブルには早くからカフヴェハーネ(直訳すれば「コーヒーの家」)と呼ばれるコーヒー店があり、喫茶店兼社交場の機能を果たしていた。

清教徒革命期の1650年、オックスフォードにユダヤ人が開いたのがヨーロッパ最初のコーヒー・ハウスと言われる。

その後、ロンドンにもコーヒー・ハウスが開店し、王政復古(1660年)、ロンドン大火(1666年)の時期を経て増加し、多くの客のたまり場となった。コーヒー・ハウスでは酒を出さず、コーヒー、たばこを楽しみながら、新聞や雑誌を読んだり、客同士で政治談議や世間話をしたりしていた。こうした談義や世間話は、近代市民社会を支える世論を形成する重要な空間となり、イギリス民主主義の基盤としても機能したといわれる。(フランス革命においてカフェが果たした役割と比較される)

コーヒー・ハウスは、情報収集の場としても重要な役割を果たした。有名な店にギャラウェイ・コーヒー・ハウスがある。17世紀中頃、当時の金融の中心地であったロンドン・シティの取引所近くに開かれ、多くの商人が情報を求めて集まったという。また、ロイズ・コーヒー・ハウスには、船主たちが多く集まり、店では船舶情報を載せる「ロイズ・ニュース」を発行していた。店で船舶保険業務を取り扱うようになり、これがロイズ保険会社の起源である。

女性が出入りすることはなく、男性客のみが対象であった。コーヒー・ハウスは活気ある社交場として栄えたが、18世紀後半以降は衰退して行き、酒場や宿屋に転業する店も多かったという。一方、1717年にイギリスで最初のティー・ハウスであるゴールデン・ライアンズが開店している。コーヒーに代わる非アルコール飲料として、紅茶が市民生活に定着していくことになる。


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